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2024.04.30

プロテオーム解析・プロテオミクスとは?意味や手法について解説

生物のゲノム研究をはじめ、がんの発生メカニズムや治療法・治療薬開発等を研究する分野において、近年需要が高まっている解析手法のひとつに「プロテオーム解析」が挙げられます。

そこで今回は、機器やアプリケーションのご紹介・ご提供を通して研究現場のお困りごと解決を支援しているミクセルが、プロテオームやプロテオミクスについて解説していきます。また併せて、おおまかな解析手順や、新しい手法として注目を集めているOlinkの特徴についても紹介していくので、プロテオーム解析に興味があるという方は、ぜひ最後までご覧ください。

プロテオーム解析・プロテオミクスとは?

プロテオーム解析・プロテオミクスとは?

まずはじめに、プロテオーム、プロテオーム解析、プロテオミクスの言葉の意味を、それぞれ確認していきましょう。

プロテオームとは、タンパク質を意味する「protein(プロテイン)」と、ギリシア語で全体や総体という意味を持つ「ome(オーム)」を組み合わせた言葉です。細胞内・生体内で発現する、または発現する可能性を持つ多種多様なタンパク質全体という意味があります。

人間をはじめとする生物の生命活動は、遺伝子情報をもとに作られるさまざまなタンパク質の働きによって支えられています。ただ、遺伝子上に設計図があるからといって、そのタンパク質が必ずつくられる(発現する)とは限りません。タンパク質の発現レベルや発現後の機能の程度については、細胞の状態や個々のタンパク質の産生と分解のバランス、他のタンパク質や分子との相互作用等により大きく変化すると考えられています。つまり、生物の機構や遺伝子発現について解明するには、タンパク質そのものを解析する必要があるのです。

そこで、タンパク質を解析する手法として「プロテオーム解析」が誕生しました。またプロテオーム解析を通して、タンパク質の構造や機能について網羅的に解析し、解明することを目的とした研究分野の名称として「プロテオミクス」という言葉が生まれたのです。

なおプロテオミクスには、特定のタンパク質を対象とする以下のような派生分野も誕生しています。

  • 構造プロテオミクス
  • 相互作用プロテオミクス
  • リン酸化プロテオミクス
  • 疾患プロテオミクス 等

プロテオーム解析のおおまかな手順とは

一般的なプロテオーム解析の手法としては、「PMF(ペプチドマスフィンガープリント)法」または「LC-MS/MS法」の2つがあります。そこで以下からは、それぞれがどのような特徴を持つ解析手法なのか、おおまかな手順と併せて見ていきましょう。

PMF法によるプロテオーム解析について

質量分析法の一種であるPMF法によるプロテオーム解析では、ペプチド群全体の質量情報からタンパク質同定を行います。具体的な解析の手順としては、以下に紹介する通りです。

  1. 目的とする微生物や細胞、血液などの生体試料中に含まれているタンパク質群を分取する
  2. 液体クロマトグラフィー(LC)や電気泳動、二次元電気泳動などを使って、分取したタンパク質群の中からタンパク質を分離精製する
  3. 分離精製したタンパク質をトリプシンなどの消化酵素を用いて断片化し、ペプチド群となる分析サンプルを調製する
  4. MALDI法による質量分析で各ペプチド断片の質量を測定、その結果とデータベース内のタンパク質配列データを比較することで、目的とするタンパク質を同定する

なおPMF法は、特に網羅的な解析や微量なタンパク質の測定などにおいて他の解析手法に劣ることから、近年では、精製したタンパク質を同定する簡易的な手法と位置づけられています。

そのため、PMF法がプロテオーム解析に使われる機会は減少傾向にあり、近年では後述するLC-MS/MS法やOlinkへの置き換わりが進んでいるのです。

LC-MS/MS法によるプロテオーム解析について

LC-MS/MS法は、PMF法と同じく質量分析法の一種ですが、より信頼性の高いタンパク質同定が可能だとされる手法です。具体的には、液体クロマトグラフィーを使って以下のような手順でペプチド群を分画し、測定と解析を進めていきます。

  1. タンパク質群を含む生体試料を消化酵素によりペプチド断片化し、分析サンプルを調製する
  2. ペプチド群をLCで分画しながらESI等でイオン化し、質量分析装置内に射出する
  3. 装置内に取り込まれたイオン化ペプチドをCIDによってフラグメント化し、ペプチドを構成していたフラグメントの質量をペプチド別に取得する(MS/MSデータ)
  4. 各ペプチド由来のMS/MSデータを用いてデータベース検索し、それぞれのペプチドごとにタンパク質同定を行う
  5. MS/MSデータの検索結果を統合し、網羅的なタンパク質の同定リストを構築する

PMF法に比べて多くの質量情報を得られるところ、また1回の測定で数千を超えるタンパク質群を同定できるところは、LC-MS/MS法の大きな特徴です。精製が難しい試料でも高精度な測定・解析結果が得られるため、網羅的な解析時には欠かせない分析法となっています。

また近年では、装置のスペック向上により、タンパク質同定だけでなく定量的な解析も可能になりました。そのため、近年では異なるサンプル間で相対的に定量比較し、バイオマーカーの候補となるような特異的なタンパク質を発見する等の目的でもよく使われています。

高感度プロテオーム解析(Olink)とは

高感度プロテオーム解析(Olink)とは

プロテオーム解析の手法には、ここまでに見てきたような従来式の手法に加え、近年になってから登場した「Olink(オーリンク)」というものもあります。PMF法やLC-MS/MS法との比較から「高感度プロテオーム解析」と呼ばれることもあるOlinkは、オーリンクプロテオミクス社によって商標登録されたサービスの名称であり、ミクセルからお客様へご紹介しているアプリケーションの一つです。

従来式の解析方法とOlinkの違い

Olinkによる高感度プロテオーム解析では、PEA(Proximity Extension Assay)法を用いてタンパク質を解析します。PEA法とは、1つのタンパク質に対して2つのDNAタグ付き抗体でイムノアッセイを行い、得られた2本鎖DNAをもとにリアルタイムPCRや、次世代シーケンサを使ってタンパク質の発現定量を行う手法のことです。

PEA法を用いたOlinkによる高感度プロテオーム解析は、これまでのプロテオーム解析では検出が難しかった以下のようなケースにおいて、特に有用性が高いと考えられています。

  • サイトカイン類のような微量、低濃度なタンパク質の検出・定量
  • ごく微量の液体試料からの網羅的なバイオマーカー探索
  • 血清や血漿のように、複雑でタンパク質の濃度差が大きい検体からの高精度な比較定量
  • ゲノム情報と統合したマルチオミクス・コホート研究  等

高感度プロテオーム解析(Olink)のおおまかな手順

PEA法を用いたOlinkの解析プラットフォームを使い、高感度プロテオーム解析を行う際のおおまかな手順は、以下の通りです。高感度プロテオーム解析や、従来型の解析方法との違いを理解する際の参考としてご覧ください。

  1. ターゲットタンパク質に対し、2種類の抗体を選定する
  2. 2種類の抗体は、互いに相補的な配列を持つ1本鎖のDNAオリゴヌクレオチドで標識された「オリゴ標識抗体」であり、溶液中でターゲットタンパク質を認識し結合する
  3. タンパク質に結合した2つの抗体が接近すると、抗体上の相補的なDNAオリゴヌクレオチドが複合体を形成(ハイブリダイズ)する
  4. タンパク質の初期濃度に比例して、それぞれのターゲットタンパク質ごとに設計されている特有の配列を持った2本鎖DNAが精製される
  5. マイクロ流体デバイスを使用したqPCR法により、タンパク質が定量化される
  6. 5で得たデータを専用のソフトウェアにインポートし、データの品質検証やノーマライズ、パネルごとの検証・確認等の統計解析を実施する

「受託の窓口」なら国内で高感度プロテオーム解析が可能

株式会社ミクセルでは、高感度プロテオーム解析を活用したいとお考えの研究者様に対し、国内受託対応にて「Olink Target 96」「Olink Target 48」「Olink Flex」をご紹介しております。

1パネルあたりのアッセイ数をはじめ、測定可能な最低サンプル数・最大サンプル数等の条件はプランによって異なりますが、いずれも1㎕とわずかなサンプル量で解析が可能です。また国内で解析を行うため、海外へ輸送し解析する場合に比べ安価で短納期での受託対応ができる他、解析前後のサポート・フォローに至るまで、専任のスタッフがしっかりと対応いたします。

プロテオーム解析、高感度プロテオーム解析を実施したいけど方法がわからない、なかなか依頼先が見つからないという場合は、ぜひミクセルの「受託の窓口」までお問合せください。

研究現場のお困りごとは「受託の窓口」へご相談ください

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株式会社ミクセルは、”日本の文化と技術で長寿を喜び合える社会をつくる”ことを理念として、研究者の夢を未来へ届けるための研究支援事業やヘルスケア事業、日本の医療・介護インフラと世界をつなぐための事業を行っております。

そんな私たちが、研究支援事業として運営する「受託の窓口」では、以下のような研究現場のお困りごとを解決すべく、経験豊富なスタッフ陣が最適な受託サービスをご提案いたします。

  • 研究する上で必要なデータを解析・取得したいが、どうすれば良いかわからない
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  • 結果をきちんと解読できるか心配なので、解析後のアフターフォローまでしてほしい

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