2025.05.23
RNA-Seq解析の受託企業を選ぶには?比較のポイントと注意点

次世代シーケンサー(NGS)を使ってmRNAやmiRNAなど各種RNA分子の配列情報を読み取り、解析する手法全般のことをRNA-Seq(RNAシーケンス/RNAシーケンシング)と言います。 遺伝子発現解析等のためにRNA-Seqを行う場合、自身の研究室が所有する次世代シーケンサーで実施する他、RNA-Seqを受託する外部企業へ解析を依頼することも選択肢の一つとなってきますが、RNA-Seqの委託先はどのような基準で選べば良いのでしょうか。 そこで今回は、RNA-Seqの受託を含む各種アプリケーションや機器のご紹介を通して研究現場のお困りごと解決を支援するミクセルが、RNA-Seqの受託サービス・受託業者を比較し、ご自身の研究目的と予算に合った企業を選ぶためのポイント、注意点について解説していきます。 RNA-Seqを外部の受託業者にお願いしたいと考えているものの、どの企業に依頼すべきかわからず悩んでいるという研究者様は、ぜひ参考としてご覧ください。
RNA-Seqの受託業者を比較・検討する際の5つのポイント
RNA-Seqの受託サービスを比較し、ご自身に合った一社を選ぶために確認するべきポイントとしては、大きく以下の5つが挙げられます。
- 次世代シーケンサーと試薬の種類
- 価格と含まれる作業内容
- 必要なサンプル量
- 納期と納品形式
- 解析の実施場所(国内か国外か)
そこでまずは、上記5点に注目してRNA-Seqの受託業者を比較・検討するべき理由や、具体的にどのようなことを確認すればいいのかについて、一つずつ見ていきましょう。
【受託先比較のポイント1】次世代シーケンサーと試薬の種類
次世代シーケンサーや、次世代シーケンサーを使用した解析に用いられる試薬には複数の種類があるため、RNA-Seqに使う機材と薬品の種類、組み合わせは業者により少しずつ異なります。
RNA-Seqの依頼先を検討する時は、まず解析に用いる機材や試薬の種類について受託業者に確認したり、検索するなどして、解析設備の観点から各業者を比較してみると良いでしょう。
【関連記事】NGSによる次世代シーケンスとは?基本的な解析原理や特徴について
【受託先比較のポイント2】RNA-Seqの解析内容と価格設定
RNA-Seqの委託費用は限られた研究予算の中から捻出することになりますから、解析の受託業者を比較・検討する際には、1検体当たりの価格目安もしっかり確認しておく必要があります。
1検体あたりの価格にどこまでの作業内容・解析内容が含まれているのか、追加で自身の研究に必要な対応を依頼することの可否や、その場合のオプション料金まで含めて確認した上で、各社の料金を比較するようにしましょう。
【関連記事】RNASeq(RNAシーケンス)とは?解析原理や応用可能な研究分野等の基礎知識
【受託先比較のポイント3】解析に必要なサンプル量の目安
RNA-Seqを依頼するにあたり、受託業者への提供が必要になるサンプルの量(TotalRNAの濃度や容量等)も、業者や解析環境によって異なる場合があります。RNA-Seqの受託業者を比較・検討する時は、解析のために用意するべきサンプル量の目安も確認した上で、ご自身が対応できる、または対応しやすい条件のところを探すようにしてください。
【受託先比較のポイント4】納期と納品形式が条件に合うか
受託業者により、RNA-Seqの解析と結果を納品するまでにかかる期間は大きく異なります。
また納品される解析結果の内容・データ量や、納品方法(USB等の記録媒体を使って渡すか、クラウド上へのデータアップロードか)も、受託業者の規定によってさまざまです。
そのためRNA-Seqを受託業者に依頼する際は、どの業者の納品方法と形式が自身の条件に合っているのか、事前に確認しておく必要があるのです。
【受託先比較のポイント5】国内・国外のどちらで解析するか
RNA-Seqの受託業者には、解析作業を国内で実施する業者と国外で実施する業者があります。
国内でRNA-Seqを実施している受託業者は、臨床サンプルなど国外へ持ち出せないサンプルの解析の他、短納期での解析にも対応しやすいのが特徴です。対して、世界規模で検体を集めて海外でRNA-Seqを行う受託業者には、国内実施の業者に比べ解析価格が安い傾向が見られます。
解析の実施場所も、RNA-Seqの納期や価格に大きく影響を与える要素の一つですから、受託企業を比較する際は必ずチェックするようにしてください。
RNA-Seqの受託サービスを比較・検討する上での注意点
一般的に受託業者は、お問い合わせフォーム等でお客様からいただいた要望・情報をもとにプランや見積を提案し、解析実施から納品、アフターフォローまでのサービスを提供しています。
そのため、メールによる情報のやり取りだけで解析の依頼から納品まで完了することも多いのですが、解析対象となる生物種によっては、詳細な打ち合わせが必要になる場合もあります。
また依頼のタイミングによっては、受託業者のサイトやパンプレットで提示されている納期目安よりも長い納期が必要になることも考えられるでしょう。
RNA-Seqを受託業者に依頼したいと考えているなら、比較するべきポイントと併せて、自身の研究テーマや依頼する時期、サンプルによっては想定通りの手順・納期で解析を進められない可能性があるということも、覚えておくようにしてください。
RNA-Seqの受託サービスを利用する際の流れを紹介
RNA-Seqを依頼する業者を選ぶためのポイントと注意点を理解できたら、次は、実際に受託サービスを利用してRNA-Seqを外注する場合の流れについて、具体的に見ていきましょう。
以下からは、ミクセルの「受託の窓口」の場合を例に、RNA-Seqを外部企業へ委託する流れを紹介していきますので、ぜひ参考としてご覧ください。
- 依頼する受託カテゴリーの中から「RNA関連」を選択
- お問い合わせフォームに必要事項を入力、送信する
- 受託の窓口にてお問合せ内容を確認、必要に応じてヒアリングを実施
- ご要望をもとに、担当者よりRNA-Seqの解析プランとお見積を提示
- 解析プランの内容と金額に納得をいただけたら、正式に発注の契約を締結
- 受託の窓口より送付するURL、またはシートに解析サンプルの情報を入力
- 6とサンプル名が一致するようにサンプルチューブを用意し、プロバイダーへ送付
- サービスプロバイダーにおいてライブラリーを作製し、各種RNA-Seqを実施
- 解析が完了し次第、事前にお伝えしていた方法で解析データを納品
※送付いただいたサンプルについては、解析前にクオリティチェックを実施しております。
サービスプロバイダーによるチェックの結果、解析を行うのが難しいと判断した場合は再送のご相談・ご連絡をさせていただくケースもございますので、あらかじめご了承ください。
ミクセルの「受託の窓口」で依頼可能な解析の分野・カテゴリーはこちらをチェック!
ミクセルの「受託の窓口」で受託可能なRNA-Seqとは?
お客様のご要望に合わせ、カスタムメイドで受託サービスを提供しているミクセルの「受託の窓口」では、真核生物の成熟mRNAの解析をはじめ、以下のようなRNA-Seqに対応しています。
- mRNAシーケンス
- small RNAシーケンス
- Iso-Seq(ロングリードRNAシーケンス)
- シングルセルRNAシーケンス (シングルセルトランスクリプトーム解析) など
【参考ページ】「受託の窓口」で対応可能なRNA関連のアプリケーション一覧
以下に、私たち「受託の窓口」にRNA-Seqのご依頼をいただいた場合にご提案可能なプランの具体例を紹介しますので、受託サービスを比較・検討する上での参考としてお役立てください。
基本的な作業内容 |
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解析内容の例 |
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納品物の例 |
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納品データ量の目安 |
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必要なサンプル量の目安 | Total RNA(バクテリア以外)の場合の例 濃度(目安) >20ng/ul 容量(目安) >50ul 総量 >1.0ug RIN >7.0 rRNA ratio >1.0 |
価格の目安 | 【生データ納品の場合】 税別定価価格で30,000円 【標準データ納品の場合】 |
なお上記の情報は、弊社よりご紹介が可能な複数のサービスプロバイダーのうち、特定の一社にRNA-Seqを依頼する場合を想定して作成したご提案例となります。価格については2025年4月時点における定価情報であるため、お客様のご相談内容に合わせた特価のご案内が可能です。
弊社では、これまで培ってきた独自のネットワークを利用し、RNA-Seqなど次世代シーケンサーを使った解析について最適な解析プランとサービスプロバイダーをご紹介しています。
とにかく納期を早くしたい、コストをなるべく抑えたい、国内での解析を希望しているなど、お客様のご要望に沿ったご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問合せください。
研究現場のお困りごとは「受託の窓口」へご相談ください
株式会社ミクセルは、”日本の文化と技術で長寿を喜び合える社会をつくる”ことを理念として、研究者の夢を未来へ届けるための研究支援事業やヘルスケア事業、日本の医療・介護インフラと世界をつなぐための事業を行っております。
そんな私たちが、研究支援事業として運営する「受託の窓口」では、以下のような研究現場のお困りごとを解決すべく、経験豊富なスタッフ陣が最適な受託サービスをご提案いたします。
- 研究する上で必要なデータを解析・取得したいが、どうすれば良いかわからない
- どこに、どんな風に頼めば欲しいデータを得られるのか、必要な予算もわからない
- 解析を依頼したいサンプル数が少なく、他のプロバイダーに受け付けてもらえない
- 結果をきちんと解読できるか心配なので、解析後のアフターフォローまでしてほしい
お問合せ、お打ち合わせにはオンラインで対応しておりますので、日本全国どこの研究室からのご依頼にも対応可能です。データの取得や解析、活用方法等についてお困りのことがございましたら、依頼したいアプリケーションをご検討の上、ぜひ「受託の窓口」までお気軽にご相談ください。


株式会社ミクセル
ミクセルは東京大学を始め、東京科学大学や、理化学研究所、広島大学など、バイオテクノロジーを研究する大学や民間企業に、世界各国のメーカーから最新の研究素材や試薬、消耗品などを仕入れ研究目的にあった商品やサービスを提供しています。